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Philly Philly Philly

 Thanks Givingで家族の元に帰るための大移動も当日ともなるとさほど混雑はしないとは言われたものの、乗り継ぎでの入国審査は長蛇の列、長い列を横目に一通りの質問の後「いまいくら持ってるか?」はないでしょと思いつつ(聞かれたの初めて)、30ドルしか財布にはないけど少なすぎるのもなにかなと思い「200ドルです(がなにか?)」と答え、指紋スキャンも何度もやらされるはでどうもwelcomeされていないような気もしましたが無事入国。母と、叔母夫婦、生まれてまだ5週間のReikoちゃんに迎えられ、夕食はラムチョップにクランベリーのソース、ポテトグラタンとサラダでアメリカンなお祝いですっかりごきげんに。けれど14時間の時差に身体がすぐ慣れるはずもなく、デザートまで待てずにgo to bed、しかも朝までぐっすり。5週間の赤ちゃんと変わらないねと言われた初日の朝です。

 
 赤ちゃんが生まれたばかりの叔母夫婦とスイスでお世話になったHediに会いにアメリカに来ています。ワシントンの家はまだ改装中とのことでVirginiaにある旦那さんが以前暮らしていた家にお世話になり、Reikoちゃんの笑顔に癒された日々を送って、後ろ髪ひかれつつ次の目的地、Philadelphiaにやってきました。



window

hedis studio

myroom


二年前に来たときと同じ写真を撮っています。
こんな場所で制作ができたらなぁ。

アトリエにはこれまでにHediがつくったものや
作品の源になる大切な本が並んでいます。

ゲストルームのレイアウトは以前と少し変わって
いました。壁にはHediが子どもや孫たちのために
つくった作品が飾られています。



 昨日はHediの教える大学、The University of Arts in Philadelphiaに行ってきました。二年前も訪れましたが、印刷、製本、ブックアートが学べるとてもよい学校です。授業をちょっと覗くだけと思っていたのに、急にプレゼンテーションをすることになり持って来たパソコンにある写真から選んで慌てて準備をし、スイスでのこと、夏のイタリアのワークショップ、日本でのこと、スライドショーを見せながら話しました。きちんと用意したスライドではなかったのでところどころにごはんの写真が…くいしんぼ製本家と思われたのは間違いありませんが、みなさんたのしんでくれたようでよかったです。午後はわたしもワークショップに参加させてもらって、catapillar stitchと格闘、いくつか簡単なケースや箱づくりも教わって、またわたしも生徒たちに教えられることが増えて次のワークショップがたのしみになりました。


 さて、今日はこれからニューヨークに向かいます。Amtrakで母と待ち合わせ、どこに行こうかなといま地図を眺めながら、あれもこれもと買い物のことばかり考えています。円高ってこわいー




十二月一日 木曜日(Reikoちゃんは白鵬似←言えないけど)

| journey | - | 09:15 |
back home

  早朝から始まる礼拝、オルガンの音色とfriarたちの歌声が響き渡ります。9時から始まる授業の身支度で慌ただしい朝、まだ冴えず寝ぼけたままの頭に、おごそかででもどこか懐かしいその音色が清々しい朝の風を運んでくれます。礼拝中は粛々として厳格な雰囲気でも、ときおり廊下ですれ違うfriarたちはにこやかでやさしい笑顔であいさつしてくれます。17世紀に建てられたという修道院、北イタリア、スイスにほど近い Lago d'Orta の近く、Monte mesma の山の上にある修道院でのワークショップ、5年前、スイスの学校で box making の授業を受け、箱づくりの技術はもちろん、授業の進め方、教え方などとても影響を受けた先生の、母国以外での最後の授業になるかもしれないと聞いて参加しました。シンプルな折りの技から、Hedi や Carmencho Arregui の技術を手本にふたりの先生たちによって展開されたあたらしい技術まで、13名、9カ国からの参加者たちと濃くてこまやかな時間を過ごすことができました。



convent


Convento Frati Minori del Monte Mesma

修道院の中庭に渡る廊下からの眺め。
宿泊している棟から、ワークショップをする教室まで、
毎朝ここで頭をしゃきっとさせて授業に向かうのでした。




 Cor に教わった箱づくりの授業から箱づくりのオーダーに応えられるようになりました。昨年にはアイデアでの山口さんのこれまでのお仕事が特集され、一緒に制作してきた箱の作品を載せてもらいました。早速、Corにもそのことを伝えるとすぐに買ってくれて、「日本語は読めないけれど、よい仕事ができていること、僕もとても誇らしい」とメールをもらいました。昨年、やまほんさんでは11個、その後の様方堂での展覧会ではさらに2つを加え、今年に入って制作した最後の箱(たぶん)、アイデアno.320とno.343の山口さんのページを一冊に製本したものを合わせて13個+1(これはアルミの箱)が韓国で展示されることになりました。展覧会は山口さんと韓国の写真家・具本昌さんとの二人展、ソウルの新世界百貨店のギャラリーで催されるとのことです。もしかしたら具さんに箱の写真を撮影してもらえるかも…と密かに期待しています(笑)詳しいことが決まりましたらまたお知らせします。



 7月23日、30日には、愛知県清須市にある清須市はるひ美術館での武井武雄「創造のおもちゃ箱」展でワークショップをします。「コドモノクニ」に代表される武井武雄の童画や装丁や製本にもこだわった作品がたくさん展示されます。


 日時:7月23日(土)、30日(土) 14:00〜16:00
 講師:都筑晶絵〔製本作家〕  
 場所:清須市はるひ美術館
 料金:500円 ※要展覧会チケット
 申込:要予約(先着順) 7月9日以降、電話で受け付けます。
 対象:親子(小学生以上の子どもに限る)
 定員:各10組  
 持ち物:筆記用具



 8月6日(土)にはお隣のスタジオ・マノマノにてトークイベントをさせていただきます。製本を初めて学んだフランス、その後留学したスイスの学校のこと、オーダーを受けたり作品を発表するようになってからのことなど、スライドと実際の作品をお見せしながらお話したいと思います。こちらもどうぞよろしくお願いいたします。


 talk event
  「ものつくり人」vol.1

 日時:8月6日(土) 18:00〜20:00
 講師:都筑晶絵〔製本作家〕  
 場所:スタジオ・マノマノ
 料金:1,500円/学生1,000円(飲み物、お菓子付き)
 申込:スタジオ・マノマノのブログからメールまたは電話で受け付けます。
 定員:20名  



七月四日 月曜日(お誕生日だからってバルセロナに行くんだって。レアルとおんなじホテルに泊まるんだとさ)
| journey | - | 13:57 |
イタリアへ

 danishpastery


これがほんとのデニッシュだよとおやつに買ってきて
くれました。post museumで買った切手を見ながら、
コーヒーと一緒にデニッシュを頬張りながら、
デンマークの歴史を丁寧に説明してくれるHasse。
よい仕事仲間に恵まれて仕事できるのはなによりも
幸せなことと教えてくれました。




 デンマーク滞在もあと僅か、これからネット環境もない場所でのワークショップに参加するためイタリアに旅立ちます。7月のIIDでのワークショップは引き続き募集中ですが、30日まで返信ができません。お手数お掛けしますが、どうぞよろしくお願いいたします。




六月十九日 日曜日(ル・イ・ジ・ア・ナ!)
| journey | - | 15:19 |
デンマーク便り_その2

danishcuisine swedishcuisine


きのうのランチは伝統的なデンマーク料理のレストランでいただいた
オープンサンド。白身魚のフライにレモンと少し甘めのタルタルソースを
かけていただきます。下にあるパンが隠れて見えないくらいのボリューム、
でもぺろりといただきました。

夜はクララお手製のスウェーデン料理(彼女はSwedishです)
茹でたジャガイモにニシンの酢漬け(これもちょっと甘め)、
これにサワークリームに芽ネギを加えたものを一緒にいただきます。
ちょっと甘めの魚にクリームの酸味が合わさってこちらも
おいしくいただきました。



FinnJuhlhouse_1 FinnJuhlhouse_2


建築家であり家具デザイナーであったFinn Juhlが晩年暮らしていた
邸宅です。街の中心から電車とバスを乗り継いで30分ほど、木々が
青々と生い茂る林の奥にひっそりと佇んでいます。
家具や調度品、棚に並んだ本たちから彼の暮らしを少し垣間みることが
できます。どれも長く大切に使われていたのでしょう。彼のデザインした
家具がいまも愛され続ける理由がとてもよくわかりました。


 

  デンマーク滞在ももう五日が過ぎました。ずっと続いていた青空も、今日は雲の合間に少し覗くくらい、気温も18度ほどしか上がらないそう。今日は朝からなんだかそわそわ、あれもこれもと落ち着きません。そう、今日は金曜日、夕方にはクララとこの旅でいちばんたのしみにしていた郊外の美術館へ、そして夜はクララのお友達のお家で小さなパーティに呼ばれているのです。少し出かけていたら空が明るくなってきました。アトリエのスタッフのHasseとお茶をして、Bellevue beachに向かいます。




六月十七日 金曜日(みーちゃんのプレゼントはmoustacheだよ!)






| journey | - | 16:13 |
デンマーク便り

  コペンっ子に混じって毎日自転車で走り回ってます。ルールを知らずに走ってたら前から来たおじさんが右側通行だよって教えてくれました。みんなとても親切です。ここはデンマーク、コペンハーゲン、北欧の小さな港街に来ています。パトカーのサイレンが魔女宅キキの街とおんなじでちょっとドキドキしながら自転車ですーいすい、とはいかずあたふたしながら走り回ってます。


klara



たくさんの機械が並ぶクララの工房。
お堅い本から、アート本まで、幅広いオーダーを
こなします。ちょうど工芸美術館のカフェの前の
スペースと、black diamondと呼ばれる図書館で
彼女の作品が展示されています。



 スイスの学校でクラスメートであり、ルームメイトでもあった友人クララに会いにやってきました。彼女とは、お互い製本家として早くから独立したものの、ひとりで仕事をしていくことの厳しさを目の当たりにし、ステップアップのためにと留学したスイスで出会いました。製本家として働くには製本所に勤めるか、もしくはひとりでやっていくかしかありません。稀に大きなメーカーと契約してアイデアを提供し、機械で大量に生産するという方法を選ぶひともいますが、わたしたちはクライアントと直接やりとりし、一冊から多くても100部前後をすべて手作業で制作する仕事を選びました。毎回異なるオーダーに応えられるよう、素材や製本方法、ときにデザインも施すやり方は、スイスで出会った製本家たちの中でも稀な存在でありました。けれど生活するためにはやはりそれだけでは難しく、クララは高校で、わたしも教室やワークショップで教えることと両立しています。5年ぶりに会った彼女の順調な様子は、制作途中の山積みになった本を見ればすぐわかりました。お店にはスタッフも!きびきびと働く彼女の様子を知ることができただけでうれしくてここに来てよかったと実感しています。




roses

ちょうど満開の薔薇が迎えてくれました。
もっと涼しいかなと思っていたけれど、
日中は26度くらい、からりと清々しいお天気です。


lamp jacobsen_clock


工芸博物館には王室の調度品から現代まで、
デンマークが誇るデザイナーたちの家具が並びます。
ヘニングセンのランプとYチェアーは実家のダイニングで
使っていたのでで子どもの頃から愛着がありました。
イタリア好きの父も、家具は北欧のものがお気に入り
だったようです。


 

 8月6日には名古屋のアトリエの隣、スタジオ・マノマノの場所お借りしてトークイベントをさせていただくことになりました。製本家の仕事、ヨーロッパでのこと、そして今回の旅のお話もできたらなと考えています。また詳細が決まったらお知らせします。

 7月17日(日)、18日(月・祝)のIID世田谷ものづくり学校でのワークショップもアップされています。こちらもどうぞよろしくお願いします。




六月十五日 水曜日(マリコはおふらんすへ)



| journey | - | 15:46 |
フランスの南の山側に行っていました

CDG 


 一時間と少しのフライトでオルリー空港に到着、sortieの向こうは重たい雲に覆われた日暮れ間近の空、ほんの少し前まで見てたあのまぶしいくらいの青空がもう懐かしく感じます。Aix en provenceに住む兄夫婦と一緒に、マルセイユから少し山の方、Luberon地方の小さな村を巡る旅に出ていました。それぞれの村は数キロも離れていない場所にありますが、石畳の階段、土の色、育つ草木にもそれぞれの村の色があり、その土地の色を損なわないように政府からの厳しい規制があるために景観が美しく保たれています。'鷹の巣村'とも呼ばれるGordesに向かう山道の途中、十メートル先も見えないほどに霧が立ちこめてきましたが、数分後にはさーっと霧も晴れていき、薄もやの中に崖にへばりつくようにそそり立つ家々の景色が目の前に表れるとほんとうにラピュタの世界。もう少しするとさくらんぼやアーモンドの花の咲く季節、夏にはバカンスで訪れるひとでおおにぎわいだそう。




cross


最後のお宿は la celle 村にある修道院を改装したホテル。
敷地内にぶどうと野菜の畑があり、夕食には採ったばかりの
新鮮な野菜が食卓に並びます。
広い敷地内を散歩したり、サロンで紅茶を飲みながら本を
読んだり、ここではのんびり過ごすことができました。
スタッフのみなさんが、給仕のときはきびきびと、そして
あたたかいおもてなしをしてくださったからあんなに心地よく
過ごせたのだと思います。 merci a tous!





 後ろ髪引かれつつパリに戻り、こちらはベッドで大半の面積を占めるちっちゃな部屋ですからホテルでのんびりすることもなく、毎日げんきに歩き回っていました。st.Michelのbouquinistesがあいにくの雨で閉まっている日が多くてちょっと残念でしたが、ちょうど勇人くんと日程が一緒だったのでほとんど毎日一緒にお出かけしていました。母もとってもたのしそうで、和食やらベトナミーやらタイ料理を(ちょっとフレンチも)毎日おなかいっぱい食べました。最後の夜はパリで修行中の光晴くんと一緒に3人で会って、がんばるふたりのこれからに励まされました。またどこかで会えるとうれしいな。





 三月四日 金曜日(みなさんに チョコとお塩を おすそわけ)
| journey | - | 13:01 |
Looking in

 旅行から戻って一週間以上が過ぎてしまいました。時差ぼけのおかげで、夜中に目覚めることはありませんがいつもよりずっと早起きできるのでこれはこのまま治らなければよいなと思いつつ、凸凹フェスタの準備やら手帳やら箱やらを制作中です。


 Hedi に会いに行くと決めたのは、5月からのあたらしいクラスのためのサンプルづくりをしている過程で納得できないところがいくつかあって、これは誰かに聞かなくてはと思い立ったからです。フィラデルフィアの中心にほど近い閑静な住宅街に、ため息がでるほどの美しい本たちに囲まれて暮らす Hedi と Juergen、壁にかかる古い道具や使い方の知れない小物は世界中のマーケットなどで見つけたものらしく、その地の思い出を丁寧に説明してくれる Juergen は無邪気にはしゃぐ子どものようでふたりの人柄がそのまま家中に溢れています。二日目には Hedi がクラスを持つ The University of the Arts in Philadelphia に行き、生徒たちと一緒にワークショップもしました。わたしの拙い説明にも一生懸命耳を傾けてくれてとてもたのしいひとときでした。Hedi が受け持つのは日本だと大学院にあたるクラスで、book art が専門に学べるクラスがあるのはとても羨ましいことだと思います。翌日は Hedi が修復家として働いていた図書館のアーカイブへ。アメリカが植民地から独立してひとつの国家として生まれ変わり、ワシントンDC に移る以前はフィラデルフィアが国の首都を成していました。そのため街には歴史的な建物が多く、図書館の蔵書には植民地時代のものもあり、特別に修復中の本も見せてもらうことができました。14-15世紀の本を実際に見るのは初めてで本そのものが物語る歴史の重みを感じることができとても貴重な経験になりました。







 Hedi たちとはまたすぐ会えるよねと大きく温かなハグでお別れして、最後は叔母の住むワシントンDCへ。ちょうど Robert Frank の写真展が開かれていてこの展覧会を観ることも旅の目的のひとつでした。スイスで生まれ、30歳でニューヨークに移住し、1955年から全米中を旅しアメリカの断片を収めた写真集 ' The Americans '、その刊行から50周年を迎えた今回の展覧会。一月に新大統領が誕生し、二百万人もの人々が全米各地から集まり、演説に聴き入った議事堂にほど近い National Gallery of Art の西棟で開催されていました。行きの機内で ' the secret life of bees ' をちょうど観た後ということもあって、つい40-50年前に白人と黒人が一緒に映画に行くだけで黒人が暴行を受けるような時代があったという事実を知り、そしてそれから50年が過ぎアフリカ系大統領が誕生、ニュース映像で観たあの場所を歩くだけで胸が高鳴ります。就任式の朝、ものすごい人ごみの中で会社に向かったという叔母は歴史的な瞬間を見ようと集まった人々がみな笑顔でほんとうに嬉しそうな顔をしていたのが印象的だったと話してくれました。ニュースの映像や活字からだけでは知ることのできないアメリカの姿を、数百年前の本やひとりの写真家の目を通して知ることのできた旅でした。


 さて、来週からは活版凸凹フェスタ2009が始まります。

 2009年 5 月 2 日(土)- 11 日(月) 13:00 - 18:00(最終日は 17:00 まで)
 【会場】CCAAアートプラザ/ランプ坂ギャラリー
 東京都新宿区四谷 4-20 四谷ひろば(旧四谷第四小学校)A館
 http://www009.upp.so-net.ne.jp/ccaa/
 東京メトロ丸の内線 四谷三丁目駅徒歩 7 分


 わたしは 2、3、5、8、11日に14時頃から会場にいる予定です。今回は ananas press + anna として参加しますのでヒロイヨミ社山元さんと友人 annaちゃんもいます。それぞれの作品も展示予定ですのでよかったら見にきてください。お会いできるのをたのしみにしています。



四月二十四日 金曜日(おーじのおみやげたくさんだぞよ)
| journey | - | 12:45 |

 展示も昨日で無事に終わりました。思わぬ数年振りの再会もあったり、友人からのうれしい報告を受けたりといろんなことがあった10日間でした。

 ちょうどオーストリアから友人が来日中で展示のことはもちろん、彼女をどこに連れていってあげようかなにを食べさせてあげようかと悩む日々でもありました。でもおおげさに考えなくても、普段よく足を運ぶ場所や友人たちに会わせてあげるのがいちばんうれしいのだって教わりました。ガイドブックに載っている場所よりも、その地に住んでいる人が普段行くようなところに連れていってもらうのが何よりもその場所を知ることのできるたのしみなのですから。


 ゴールデンな休日最終日、家路を急ぐ人々を横目に空いた電車に乗って少し遠出をしました。待ち構えていたのは筍づくしごはん、母が Astrid のためにお昼を用意していてくれていました。中でも筍とわかめの酢みそ和えがお好みのようで仕事から戻った弟くんの分も食べてしまったほど。



toyotamusem



 翌日はわたしのいちばん好きな美術館に連れて行きました。高校生の頃に開館して以来、何度訪れたことでしょう。駐車場から歩いて道路を渡り、入り口にたどり着くまでの美術館全体が見渡せるところがわたしはいちばん好きです。中に入ると天井まで続く磨りガラスから自然光が洩れ、季節によって、時間によって常設作品の見え方も少しずつ変わります。企画展によってその姿を変える箱としての美術館も役割ももちろんですが、この箱の美しさが際立つ、それによって作品もよりよく見える数少ない美術館のひとつだと思っています。


 箱づくりも製本家の仕事のひとつです。ボール紙の厚みを考慮し、入れる本との隙間を開けすぎず、でもすんなりと本が入るようにコンマミリ単位の計算をしながら組み立てる作業はさながら建築の模型づくりのよう。まだまだ練習が必要だけれど、箱づくりのオーダーにももっと答えられるようにしていけたらなと思います。



box

ちょい悪 Cor Aerssens 先生のクラスでつくった箱。
誰よりも小さくて、完成までいかなかったけれど
初めての作品に自分でも満足。



五月十三日 火曜日(言われてはじめてわかる気持ちがあるのだと)




| journey | - | 17:05 |
思い出のラムステーキ

 ノートや手帳によく使わせていただいている竹尾の羊毛紙という紙があります。先日、用事があって来店したときに羊毛紙を注文されている方がいたのですが、どうやら見本とは色が違う様子。お店の方が「この紙にはひつじの毛が入っているのですが今回のはちょっと黒い毛が多くて…」と天然のものであるからこういったことが起こるのだとのことを説明しているの聞いて納得。いくら機械で量産されていても、元の素材は植物であり動物なのです。

 アメリカに暮らす叔母とニューヨーク州の北、Albanyの近くにある Old Chatham という小さな街を訪れたことがあります。ここにある Old Chatham Sheepherding Company では広大な敷地にたくさんのひつじが飼育されていて、新鮮なひつじのミルクからチーズやヨーグルトなどを製造しています。目印は緑に黒いひつじの絵のパッケージ、ここで購入することはもちろん、オーガニック系のスーパーなどでも買うことができます。牛に比べて味が濃厚で苦手な方も多いのですが(わたしもそのひとり)こんなにたくさんのひつじたちと触れ合うことのできる機会なんてそうはありません。叔母とふたりで日が暮れるまでひつじ小屋巡りをしていました。

 近くには自宅を開放してホテルにしているすてきなお宅があり、わたしたちはその二階に泊まりました。宿泊しているのはわたしたちと家族連れの二組だけ、一階のダイニングルームで一緒に食事をします。その晩のディナーのメインは lamb steak、数時間前に一緒に戯れたあの子ひつじがお皿に・・・新鮮なだけあって味はすばらしくおいしかったのですが、ちょびっと複雑な気持ちでいただきました。



羊


やぎ


スイスのアパートの近くにもやぎとひつじがいました。
去年のこの時期に生まれた赤ちゃんやぎとひつじの親子、
親ひつじの毛は焦げ茶色、子ひつじはまっくろくろ。
わたしのあげたパンに食い付くのはやぎばかり。


 春の訪れとともにあのひつじたちも出産ラッシュを迎えていることでしょう。わたしも気持ちをあらたに明日からまたあたらしい生徒を迎えたいと思います。どうぞよろしくです。


四月四日 金曜日(羊じゃなくてひつじのがかわいいわたしは未年)
| journey | - | 17:44 |
gugging

 作品をつくり続ける上でたったひとりの力で前に進むことは容易ではありません。作業をするときはもちろんひとりだけれど、作品が完成し、気に入ってもらい、ひとの前に出すまでにも様々な道のりがある。ときには理不尽な思いをすることもあるけれど、回り道をしながらでもひとつひとつ丁寧にこの手から生まれるものを大切に、この手を離れてからもどこかで誰かがそのページをめくっていてくれることを想いながらこつこつと手を動かし続けていたい。
 
 「guggingの画家たち」というタイトルの展示を観たのはもう十年近くも前のこと、世田谷美術館で初めて彼らの絵を、彼らの存在を知りました。Art Brutと呼ばれ、富や名声にとらわれることなく、流行や時代に流されることなく、知識に汚されることなく自発的に表現した芸術家たちの展覧会。想いのままに描かれ、自然な線が印象的な彼らの絵は生命力に満ち溢れていました。


gugging_house
 

 ウィーン郊外にある病院の敷地内で共同生活をしながら制作活動をし、そのすぐ隣に建てられた美術館 museum gugging で彼らの作品に出合えます。真っ白なその空間に知的障害のある患者の中でもとりわけ優れた才能をもつ作家たちの作品が並びます。アトリエも併設するその建物と住居を彼らは自由に行き来し、スタッフとたのしそうに会話をしながらそこで暮らしています。彼らもこの場所だからこんなにのびのびと制作ができるのかもしれない。幼い頃の記憶や風景が宿るその絵が、僕らは決して孤独ではないのだと訴えているようでした。


gugging_room


 長いヨーロッパの旅を終えて帰国したあっちゃんと東京で再会し、その後の旅のお土産話しを聞きながらこれからのことを話しました。彼女のなかでも、ほかのどの有名な美術館や作家の作品よりも、生き生きと暮らす彼らと彼らを支える人々がいるあの場所がいちばん印象に残っていると話してくれました。

 まわりのすべてを遮断して自らひとりの世界に入ることは、ほんとうはものすごく簡単なことなのかもしれない。けれど、近しいひとさえも入り込めない隙さえもなくしてしまっては自分から進むべき道を閉ざしてしまっているのと同じこと。誰かに手を借りるのは決して恥ずかしいことじゃない。


十一月十五日 木曜日(あみんはamingと書くらしい)


 
| journey | - | 22:39 |

postal di a

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