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gugging

 作品をつくり続ける上でたったひとりの力で前に進むことは容易ではありません。作業をするときはもちろんひとりだけれど、作品が完成し、気に入ってもらい、ひとの前に出すまでにも様々な道のりがある。ときには理不尽な思いをすることもあるけれど、回り道をしながらでもひとつひとつ丁寧にこの手から生まれるものを大切に、この手を離れてからもどこかで誰かがそのページをめくっていてくれることを想いながらこつこつと手を動かし続けていたい。
 
 「guggingの画家たち」というタイトルの展示を観たのはもう十年近くも前のこと、世田谷美術館で初めて彼らの絵を、彼らの存在を知りました。Art Brutと呼ばれ、富や名声にとらわれることなく、流行や時代に流されることなく、知識に汚されることなく自発的に表現した芸術家たちの展覧会。想いのままに描かれ、自然な線が印象的な彼らの絵は生命力に満ち溢れていました。


gugging_house
 

 ウィーン郊外にある病院の敷地内で共同生活をしながら制作活動をし、そのすぐ隣に建てられた美術館 museum gugging で彼らの作品に出合えます。真っ白なその空間に知的障害のある患者の中でもとりわけ優れた才能をもつ作家たちの作品が並びます。アトリエも併設するその建物と住居を彼らは自由に行き来し、スタッフとたのしそうに会話をしながらそこで暮らしています。彼らもこの場所だからこんなにのびのびと制作ができるのかもしれない。幼い頃の記憶や風景が宿るその絵が、僕らは決して孤独ではないのだと訴えているようでした。


gugging_room


 長いヨーロッパの旅を終えて帰国したあっちゃんと東京で再会し、その後の旅のお土産話しを聞きながらこれからのことを話しました。彼女のなかでも、ほかのどの有名な美術館や作家の作品よりも、生き生きと暮らす彼らと彼らを支える人々がいるあの場所がいちばん印象に残っていると話してくれました。

 まわりのすべてを遮断して自らひとりの世界に入ることは、ほんとうはものすごく簡単なことなのかもしれない。けれど、近しいひとさえも入り込めない隙さえもなくしてしまっては自分から進むべき道を閉ざしてしまっているのと同じこと。誰かに手を借りるのは決して恥ずかしいことじゃない。


十一月十五日 木曜日(あみんはamingと書くらしい)


 
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