2012.02.22 Wednesday
スポンサーサイト
一定期間更新がないため広告を表示しています
| - | - | |
2008.06.27 Friday
made of paper 紙の何に惹かれるのか、一言ではいえません。
たとえば、描く、切る、貼る、重ねる。 漉く、縒る、包む、透かす。 千切る、記す、折る、飛ばす。 刷る、裁つ、綴じる、残す。 めくる、撫でる、彫る、起こす。 曲げる、繋ぐ、吊るす、揺らす。 濡らす、破る、丸める、焦がす。 拾う、集める、眺める、生かす。 -「紙のもの」より 大学三年生の終わり、展示のために作品制作をしているときのこと、学校のプリンタの調子が悪くなったことがありました。このプリンタでの印刷の制限を超えたとても薄い紙に印刷をしていたためにどうやら紙づまりを起こしてしまった様子。ぴくりとも動かなくなった機械を前になにもできず、修理の方を呼んで直してもらうことになりました。中を開けると、ずいぶん前に印刷したであろう黄ばんだ紙が、幾重にも重なってローラーに絡まっています。焦がしたキャラメルのようなにおいが漂い、何重にもインクが刷られ焦げてぱりぱりになった紙が出てきました。そのなんともあまーいにおいとフォルムの美しいこと。「こんどからは注意してくださいね」との修理屋さんの注意をよそに、みんなでにおいを嗅ぎ合い、制作も忘れてしばらく眺めていたのをいまでもよく憶えています。 製本家という仕事柄、紙に触れる機会はとてもたくさんあります。切ったり、貼ったり、摩ったり、透かしたり、厚いもの、薄いもの、皺のついたもの、ついつい集めては置き場所に困る日々。作品のためにと買うものもあれば、いつかのために取りためておくもの、ちいさな切れ端も捨てられなかったりします。 そんな紙を用いて作品づくりをしている作家さんたちを集めた「紙のもの」が BNN 社から発売されています。今回は編集者の方のための手帳を制作、インタビュー(はずかしい)と一緒に載せていただきました。彼女も同じく紙を集めるのが好き、これまでに集めたものをどっさりと持参してくださり、何度かの打ち合わせを経ていろんな話をしてできた一冊です。よかったら見てみてください。 スイスでたまごはこんななに入って売られています。 この厚みのある、ぼてっとした感じがすき。 おみやげ詰め込んで、エアメール。 送ってはみたけれど、よろこんでくれたかは不確か。 六月二十七日 金曜日(ひさしぶりに熱がでてはながすごい) 2008.06.15 Sunday
solander box 活版印刷で原版の複製を作るための紙型をまとめたいのですが、との依頼をいただきました。紙型自体がとてもよいものであったため、最初はこのまま箱に入れるのがよいかなと考えましたが、紙型も大きさを揃え、和紙で最小限に留めた蛇腹の本にしました。そのときにつくったのがこの箱です。 British Museum に在職していた植物学者の Dr. Daniel Charles Solander によって考案されたその名も Solander box 。日本語では夫婦箱と呼ばれ、ふたつの箱が空気が抜ける程度の隙間をもって被さり、手で最後まで押さえなくてもすーっと蓋が閉まる形が何とも美しい。表紙と、背、裏表紙とを和紙などの丈夫な薄い紙で繋ぎ、溝のある本と同じ構造でつくられています。なによりも難しいのがぴたりと閉まるためのふたつの箱の隙間の緻密な計算。ボール紙と覆う紙の厚み、箱の大きさを測り、ひとつひとつをきちんと組み立てる。大変な作業ですが、最後に蓋をするときの感慨もひとしおです。 紙型で残すことはいまではあまりしなくなり、これもこの印刷所での最後のひとつになってしまったそう。使うひとがいてこそのものづくりであるけれど、残し、伝えていくためのものづくりもあるのかなと考えるようになりました。古いものが教えてくれることがたくさんあります。 六月十五日 日曜日(天国に繋がる電話があったらな) 2008.06.13 Friday
je sens 「ボンジュール、お姉ちゃん。パリの地下鉄は今日もやっぱり臭いです。」と、仕事でフランス滞在中の叔父さんのところへ母と訪ねている弟くんから電話です。あの地下鉄のにおいはまだ健在のようです。それにしてもうらまやしい。
今日は、母校の大学での講義にゲスト講師として招かれ十歳近く歳の離れた生徒たちに製本ワークショップをしてきました。25 名もの生徒を前に、短い時間でどれだけのことが伝えられるのかなと今週はそのことばかり考えていた一週間でした。けれどいざ生徒を前にしたらそんなもやもやもどこへやら、たのしく授業を進めることができました。すべての本が手でつくられていた時代のこと、製本家のこと、手仕事の本の美しさ、紙一枚でこんなことができるんだってこと、ちょっとでも知っていてもらえたらこれからの制作に役立てるかなと思います。 学校を訪れたのは 5 年振りでしたが、まわりの景色はそんなに変わっていなくて、駅の改札を出て、ひと呼吸したら、いろんなことを思い出しました。なつかしくて、淡くてちょっと切ない記憶が一瞬、蘇りました。 先日、いただいたギリシャのお土産にはまだ見ぬ異国を感じました。ニューヨークのお土産に添えられたお手紙からはエネルギーをもらいました。朝、採れたばかりのミントの葉をいただいてミントティーをいれたら、爽やかなそよ風も一緒にいただきました。いまはここがわたしのいる場所なんだと感じています。 こないだ行った京都で。 新緑の瑞々しさに、ひんやりとした 境内の畳に座りしばし見とれました。 六月十三日 金曜日(こんどはレースの本) 2008.06.09 Monday
猫 この街に引越して半年が過ぎようとしています。普段、教室がある以外は自宅での作業がほとんどなのですが、たまに出かけようとするといつも出合う方々がいます。こんなに猫の多い街に暮らしたのは初めてです。
吾輩と自らを呼ぶ猫がいます。物語の中ですが、飼い主の日記を盗み読んだり、ときには人間を見下すような、考えを見透かされているような、そんな吾輩の視点でひとつの家族から人間社会への風刺を描いた作品、「吾輩は猫である」。この本を製本するという依頼をいただきました。最近、復刻されたという初版本をいただき、それをもう一度製本し直し、ハードカバーをつけました。角背の製本ですが、溝を作らず、表紙、裏表紙、背が糸を交差させて繋がり、それが中身とも繋がるという three pieces binding で製本しています。 どこか一定の距離を保ったふたりの関係を、漱石が吾輩を通じて言わんとしている、西洋文化を取り入れはじめた時代の文明社会に対する批判をユーモラスに描いたこの話を、一見和綴じのように見える表面と、ぴったりとはくっついていない表紙と中身との繋がりで表してみました(かなりこじつけ)。「デザインのひきだし」というデザイン誌に紹介していただいています。よかったら見てみてください。 箱づくりの依頼が増えてきました。 雨が続くと糊がなかなか乾きません。 待つのも大事な工程のひとつ。 ぴしっとくっつくと嬉しい。 六月九日 月曜日(初テニコ、こんどは一緒に) 2008.06.02 Monday
9月からの製本教室のお知らせ 昨日、無事に3コース目の生徒さんたちと最後の授業をしました。今期はお仕事などの都合により振替で来月も来られる方も多いので最終日という感じはあまりしなかったのですが、みなさんこれまでに教えた製本でそれぞれノートをつくったり、laporello bookをつくったりとたのしい時間でした。
さて、9月からの後期のクラスの日程が決まりましたのでお知らせします。こんどからは月曜の夜の平日クラスも設けることになりました。はりきってがんばります。 - TypeShop_g 製本ベーシッククラス 後期 ●講師 都筑晶絵 ●授業内容 (全5回) 1. 折りでのCDケースづくり 2. 蛇腹の折りでの本づくり 3. パンフレットバインディング (冊子の製本) 4. 少し難しい糊を用いない糸綴じの製本 5. 上記のテクニックからひとつを選んで, フリーに各自の冊子づくり (習得技術の見きわめ) 以上,すべてワークショップ(作業中心) ●申し込み手順 0. メールで願書請求を行います. 住所+氏名をお知らせください. まもなく郵便で願書が届きます. 1. 願書をご記入の上,返送してください. 先着順に決定.確認のメールが届きます. 2. 指定通り授業料をお振込みください. 入金確認のメールが届きます. 3. メールの案内に従って, 白金の教室に授業日にいらしてください. ★1=願書一次締切り8/25消印有効 (以降はキャンセル待ちで随時受講可能) ★2=年内は下記日程通り6講座開講します.(各講座定員4名) 昼間部A,B,C=毎週土曜日14:00-17:30 夜間部F,G,H=毎週月曜日18:00-21:30 3時間の立ち仕事となります. 30分の休憩でお茶をしたり,製本のお話など気軽にできます. ★3=受講資格は問いません. ★4=TS_gでは個人情報完全保護のため,コンピューター上で一切のデータのやりとりや書き込みをいたしません.使用するのは必要最小限のメールのみです.ご了承ください. ●授業日程(昼間部) 講座A 1. 授業(9/6) 2. 授業(9/13) 3. 授業(9/20) 4. 授業(9/27) 5. 授業(10/4) 講座B 1. 授業(10/18) 2. 授業(10/25) 3. 授業(11/1) 4. 授業(11/8) 5. 授業(11/15) 講座C 1. 授業(11/22) 2. 授業(11/29) 3. 授業(12/6) 4. 授業(12/13) 5. 授業(12/20) 講座D (2009年1月予定) 講座E (2009年2月予定) ●授業日程(夜間部) 講座F 1. 授業(9/8) 2. 授業(9/15) 3. 授業(9/22) 4. 授業(9/29) 5. 授業(10/6) 講座G 1. 授業(10/20) 2. 授業(10/27) 3. 授業(11/3) 4. 授業(11/10) 5. 授業(11/17) 講座H 1. 授業(11/24) 2. 授業(12/1) 3. 授業(12/8) 4. 授業(12/15) 5. 授業(12/22) 講座I (2009年1月予定) 講座J (2009年2月予定) ●振替授業の制度があります. ●授業料=35,000円 タイプショップgクーポン券使用可 別途教材費=3,000円 願書請求/お問い合わせ hitsh@htypo.net - どうぞよろしくおねがいしますです。 六月二日 月曜日(あなたのせいでわたしもちょっとしあわせ) |
postal di a
profile
categorie
ARCHIVES
|